繊細で、人の気持ちにとても敏感な未怜ちゃん。

そして、一見大人しそうな、少女めいたかわいらしい外観とはうらはらに、その心はとても強い。

クラスのいじめっ子にも、お母さんにも――自分より強い人間も、彼女はいっさいひるまない。



そんな未怜ちゃんが、かわいくてしょうがなかった。




ずっと、ずっと好きだった。




ぼくは今後、もしかしたら、この未怜ちゃんの背中を押した手を長い間恨むことになるのかもしれない。







あーあ。



ぼくって一体何やってんだろ。

お人好しにもほどがある。




とことん道化者な自分に苦笑しながら。

さっき見た美しい女の人の存在に一抹の希望を託して。


未怜ちゃんのほっそりした後ろ姿がドアの向こうに消えていくのを、ぼくはじっと見送った。