「あの……昨日は、ごめんね」


終わった後。

ふたたびベッドに潜り込んだ琢磨くんは、枕に頬杖をつくと肩をすくめて言った。



「……え?」



一瞬何のことかわからなかった。



「ほらあの、お兄さんとやりあって……

ぼく偉そうなこといろいろ言っちゃったし、機嫌悪かったな、って思って」

「ううん……

琢磨くんが悪いんじゃないもの」

「実はさ、落ち着くまでずいぶんかかっちゃった」


琢磨くんは隣のあたしににっこりと微笑みかける。



鷹耶が、1年前から続いてるって言ったこと。

あたしがまんざらじゃないかもしれないと言ったこと。


そういうことには、琢磨くんは一切触れない。


もしかしたら気になってるのかもしれないけど。



あのとき、琢磨くんは「過去じゃなくて現在の話をしてる」って言ってた。


あれは本心なんだと思う。