ふいに部屋のドアが開く。 私はノックの音に気づかず、ドアが突然開いた事にびくっとした。 そこには母が立っていた。 「…びっくりした。なに?」 母は、ああまたかという顔をして言った。 「香、ピアノの練習する前に早く着替えなさい。それとこれ。」 1通の封筒を差し出す。 「夏の短期夏期講習のお金。あんた美鈴ちゃんトコの塾にいくんでしょ?」 「ああ…ありがとう。」 私はヘッドフォンをはずして、封筒を受け取った。