部屋のドアがバタンと閉まってから、私は着替え始めた。


そしてさっきまでの想像の中の世界の自分を思い返していた…。




想像の中の私は、元気で明るくてヤル気に満ち溢れていた。



大きなコンサートホールで、私は中学生では難しいといわれる大曲を弾く。

鋭い感性、奇抜な表現、深い感受性…


すべてが完璧だった。


癖毛の髪はストレートになり

無愛想な表情は1つも見られず、笑顔で観衆に挨拶をする。


「私は特別なんだ…」



着替えを終えた私は、ヘッドフォンを再びつけそんな貪欲な世界にまた戻った。