「最近、あの子見ないね」
ある日カナが今月号のティーン雑誌をぱらぱらと捲りながら言った。
あの子とはきっとその雑誌の読者モデルのこと。
彼、光輝のカノジョ。
華奢で、まるでお人形さんのような女の子。
涙袋にあるほくろが印象的だった。
「よくあの校門で待ち伏せしてたのに最近それもないね。別れたのかな」
窓から見える校門を眺めているとカナが怪しげに笑った。
「なによ」
「狙うなら今がチャンスだよ」
あたしはうんざりしながらため息を吐く。
何度この言葉を聞いただろう。
「だからそんなんじゃないってば。ただ気になるっていうだけで」
「嘘ばっかり。授業中のあんた見ていると気になるなんてレベルじゃないよ。あんな熱視線、誰でも見たら好きなんだなって分かるし」
鋭いところを指摘されて、あたしは恥ずかしさで自分の顔が火照っていくのが分かった。


