彼の名前は、コウキ。
光に輝くと書いて、光輝。
太陽の光のように輝いてほしいという意味だと以前彼が言っていたのを耳にしたことがある。
名は体を表すとよくいうけれど本当にその通りだと思った。
特に、彼の場合。
彼の周りはいつもたくさんの人で集まっていて、持ち前の明るい性格と人懐っこい笑顔が親しみやすいのか、教室の中は彼がいる限り笑いが絶えることはなかった。
きっと、彼は人を引きつける何かを持っている。
気が付けばあたしは彼を目で追っていて、いつの間にか彼のひとつひとつの仕草を敏感に感じ取る自分がいた。
左利きの彼は左手でシャープペンを器用に回しながら、真剣な眼差しで黒板をじっと見つめる。
もしその先にあたしがいたとしたら、あたしはあの瞳に吸い込まれてしまうだろう。
だけど彼はきっとあたしを映し出してくれない。


