「ねえねえ、待ってよ」
授業が終わり、教室を出ようとすると呼び止められた。
振り返るとそこには整った顔立ち。
中島クン。
あたしはいつだか中島クンがあたしを好いているらしい噂を聞いたことを思い出した。
「よかったらさ、オレとこれからカラオケでも行かない?」
「ごめんなさい、今日はちょっと…」
先に廊下で待っている彼に視線を送る。
そのことに気付いた中島クンは「ああ、そっか」と笑った。
「最近、光輝と仲いいよな。付き合ってるの?」
こくり、と頷く。
「そっかそっか。分かった。急に誘ってごめん。光輝によろしく伝えといてな」
「うん。ありがとう」
下駄箱で靴に履き替えながら、彼は言った。
「さっき中島となに話してたの」
「あ、たいしたことない」
「ふうん」
そっとあたしの頬に触れる彼の指。
「あいつはやめとけよ。顔はいいけど女にだらしがないから」
「ふふ、大丈夫だよ。あたしは光輝一筋だから」
「ならいいけど」
「もしかして焼きもち妬いてる?」
「かもしんねえ」
ふふ、とあたしはまた笑った。
嬉しい。
彼があたしのことで拗ねてる。
「光輝」
「なんだよ」
「名前呼んだだけ」
「んだよ、あーーー」
彼はウィンドウの奥を指差した。
「あのネックレス、お前に似合う」
あたしの胸元で揺れるハートの形をしたリング。
それはどんなものより輝いている。
「これでお前は俺のものだ」


