あまりにもさらりと話すものだから、あたしはついそのまま流してしまいそうになった。
にこにこと屈託なく笑うカナ。
「全治三ヶ月の怪我。だけど退院してからもしばらくは学校に行けなかったな。それぐらい精神的にヤバかった」
「そのこと警察に話さなかったの?」
「警察?…ああでもあの子の家ってどっかのお金持ちでさ、言ってもお金でもみ消されたよ、きっと」
「…ごめん。こんなこと聞いて。辛かったよね」
「ううん、あんたが謝ることない」
「……」
「だって仕返ししてくれたじゃない」
えっ、とあたしはうつむいていた顔を上げた。
やっぱりカナはにこにこと笑っている。
「ここからカノジョ、突き落としたでしょ。私見たんだよ」


