「話ってなあに?」
翌朝、あたしはカナを屋上に呼び出した。
今日の空は灰色に濁っている。
「あ、これ。あんたのカバン」
あたしはカナからカバンを受け取ると、ひとまず謝った。
「昨日は先に帰ってごめん」
「いいよ謝らなくても。だから言ったじゃん、私は邪魔者なんだって。光輝クンずっとあんたと二人でいたがってたよ。それで昨日はラブラブで過ごせたの?」
「…うん、おかげさまで」
「だったらなんでそんな暗い顔してるわけ?」
「…ちょっと気になることがあって」
「気になることって?」
「カナ、光輝クンと同中だったんだよね」
「うん」
「同じクラスだったの?」
「うん。三年間ずっとね」
「そっか」
「なによ、急に」
「…あのね光輝から聞いたんだけど。カナ、一時期不登校だった時があったんだって?」
ふいに、カナの表情が曇る。
「ごめん。聞いちゃいけなかった?」
ううん、とカナは首を振った。


