「なあ」
ふいに彼の手があたしの手と重なる。
「このまま抜けねえ?俺、お前と二人でいたい」
「えっでも…」
「倉橋だって俺たちのこと邪魔したくないって言ってたんだろ。だったらいつまでも付き合わせたらかわいそうじゃん。あいつだって色々やることあるだろうし」
「そうだけど…」
「じゃそれで決まり。カバンなら明日倉橋に持ってきてもらうように後で頼んだらいい」
半ば強引に引っ張られ、あたしは彼とカラオケを出た。
その後は適当に渋谷を歩いて、ホテルで夜を過ごしたけれど、彼に抱かれている間もあたしはずっとカナのことが気がかりだった。


