「お前、倉橋から何も聞いてねえんだな」
「聞くって何を?」
「……」
「何?カナがどうかしたの?」
「まあ昔のことだから言ってもいいか。実はさ、俺告られたことあるんだよ。倉橋に」
「えっ…」
「お待たせー」
カナが戻ってきたことで、彼があたしから離れる。
あたしはカナを見上げた。
その視線に気付いたカナが首を傾げる。
「どしたの、顔が真っ青だよ」
「ううん、なんでもない。ちょっと冷えちゃったかな」
「大丈夫?…あ、光輝クン、悪いけどそこにリモコンあるから温度下げてくれないかな」
ああ、と彼はカナの言われたとおりリモコンを手にした。
そういえば彼はカナと目を合わせていない気がする。
カナに対してはどこかよそよそしい態度だった。


