本当に今更だけど、屋上以外で彼といるのが不思議で仕方なくて、いつも以上に緊張してしまう自分がいた。
グラスを持つ手が自然と震える。
彼はあたしの前に立っていて、あたしの大好きなエグザイルを何曲か歌ってくれた。
歌上手だなあ、と感心していたら隣に座っていたカナが肘を突いてくる。
「ねえ。私、もう帰っていい?」
「えっ、だめだよ。さっき入ったばかりじゃん」
「だってさー、どう考えても私邪魔者だよ。なんか申し訳ないっていうかさ」
「そんなことカナが気にしなくてもいいよ。お願い!もう少しだけ一緒にいて!」
「……」
「カナ?」
「分かった、あと少しだけね。私、トイレ行ってくる」
「ありがとう!カナ」
「ダッツあと二個追加ね」
「了解!」
カナが席を離れると、彼があたしの隣に座ってきた。
「なんで倉橋連れてきた?」
えっ、とあたしは目を向ける。
「連れてきちゃいけなかった?」
「いや…」
彼はがしがしと頭を掻いている。
その表情はどこか罰が悪そうだ。


