ターコイズブルーの空



「ほんと言うとさ、彼女死んだわけじゃないんだよ。


なんか行方不明になったんだって。


警察に捜索願いも出されてる。


でもぶっちゃけ俺は単なる家出じゃねえかなあって思ってる。


早く家出たいって言ってたし、俺の他にオトコができたみたいだし。


ついこの前もそのことでケンカしてさ。


誤解だなんて言ってたけど、どうせ今頃そのオトコの家に上がり込んでんだろ。


え?…別にショックなんか受けてねえよ。


どうでもいいよ、あいつのことなんか。


だから俺の中ではあいつは死んだってことにしてんの。


そうでもしなきゃ、俺が浮かばれねえっていうかさ。


フラれたみてえで情けなく感じるっていうかさ。


まあいいけど、あいつのことなんかどうでもいいし。





俺にはお前がいるし。




…じゃあなんでこのネックレスしてるのかって?



別に未練なんかねえよ。


確かに彼女とはお揃いだけどさ、捨てるのもったいないから…。



つーかお前が嫌なら捨てるよ。


いらねえし、こんなもん。



は、なんで?捨てなくていいって、嫌だろ、お前。





…え?なんでお前も同じの持ってんの?


そうそう、駅前の。


俺もそこで買ったんだよ。


なんだ、お前も買ったのかよ。



お揃い?


もちろん、いいよ。


貸して、俺がつけてやる。



うん、いいじゃん。


彼女、ーーいや元カノより全然似合ってるわ。


マジだって。


ちゃんと大事にしろよ。


俺もこのネックレス、お前だと思って大事にするわ。





…うん。



好きだよ、俺も」