あたしは一体彼のどこが好きになったんだろう。
結局、カナの問いに答えられなかった。
だってどこが、と聞かれてもあたしは選ぶことができなかったから。
橙色の柔らかい髪も、薄い唇も。
少し日に焼けた肌も。
引き締まった体も。
笑うと浮かぶえくぼも。
海の香りも。
ネックレスだって。
全てがあたしのココロを動かすから。
きっと全部、と答えればよかった。
どこかなんて選べない。
あたしは彼の全てが好きなんだって。
だけどあたしの気持ちはきっとその言葉に当てはまらない。
言葉では言い尽くせないほど、好きが溢れているから。


