それからは私は精神を悪化させ、逃げようにも逃げられない状態になった。                         
 あの日、息子が耳元でささやくように言った言葉が頭から離れることはない。                                    


「気を抜くなよ」                            



 そう言って私を見たその目は、まるで価値のない人間を蔑むように見下した目だった。                                
 私はそれで息子の意図がわかった。                               
 息子は私を老衰で死なせることをせず、簡単に殺しもせずに、一分一秒を肌で感じさせるように、ゆっくりと飼い殺す気だと。                  

・・私の造り上げた希望は、私に絶望をもたらそうとしている。                                
―完―