「・・・いや、何でもない」                                   
 息子は私の気持ちを知ってか知らずか、また微笑んだ。                                  
 なんだろう、どうしようもなく胸騒ぎがする。                          

・・・それから何事もなく数年が過ぎ、息子は大人となった。                    

 息子はつまづくことなく医大に進み、私の望んだ通りに、人の上に立つ人間の一つ、医者になった。                          
 きっと息子なら、いつかその中でも上に立てるようになるだろう。                             
 私の夢は叶った。