息子には「勝ち抜く力」を持ってもらいたかった。                        
 中学に入学すると息子は学校に塾、さらに部屋に閉じこもって勉強を重ねたようだった。                               
 全ては順調だった。そう思わずにはいられなかった。                                   
 ある日、息子が珍しく私に問いかけた。                             
「価値のない人間はどうすればいいのですか」                           
 私はその問いに上手く答えられず、「死ねばいい」と言った。                               
 息子はその言葉を聞いて、「わかりました」と言って立ち去った。