「 王子様なんて初めて言われた!
  おもしれー!梨和ちゃん可愛いー! 」




段々と顔が熱くなってくる。

私、良い笑い者じゃないですか。

そんなに面白いですか、先輩。




「 そんなに笑わなくたって… 」

「 あれ、梨和ちゃん茹でダコみたいに真っ赤だよ? 」




先輩はニコッと笑って私の頬をそっと触った。



この先輩、人をからかうのが趣味なのか?

私をからかって楽しいのか?



…………………最低!




「 1人で保健室行けますんで! 」




私はそう言い、早歩きで先輩を追い抜かした。

後ろから私を呼ぶ声が聞こえたけど、無視。


あんな人、全然王子様じゃないじゃん!

顔だけ王子様で中身は悪魔だ!

王子様だなんて、私の幻覚だ!

一目惚れだなんて、気のせいだ!