sakura -サクラ-




階段を3階まで上り終えて、私はため息をついた。



「生徒手帳落としたみたいなの」

「なーんだそんなことかぁ」



菜緒が(何故か)がっかり口調でそう言った。

一方つっこは、



「あぁ、だから遅れそうになったのね」



と一人納得顔。

何故“だから”?

菜緒どころか私さえもわからずに首を傾げると、つっこは音楽室のドアを開けながら言い切った。



「着く前に気づいて、探しに戻ったんでしょう」



仰る通り!



「なるほど」

「なんでわかったの!?」

「だって咲良、いつも8時には教室にいるのに自転車にぶつかったくらいで20分も遅れるとは考えにくいし、校門が見えた辺りで時間割確認するの、癖でしょ」