出かけた涙をぐっと押し込んで、俺はその場を去ろうとした。 すると、 「成哉、」 父さんはこちらを向いていた。 リビングの出入口を。 見えてんの?本当に。 「父さん、お前が帰ってくるの、待ってるから。…」 父さんは一粒だけ涙して、それまでのことは無かったかのように、冷静な顔を取り戻していた。