ジェネシス(創世記)

 俺は、「神の子」でもなければ「救世主」でもない。ただの人間だ。細胞が、アミノ酸が、異常に活発化しているだけだ。

「クリストス教」を撲滅して、徳治の世界を創世する。全く新しい宗教観を作り出す。そういう意味では、俺は「救世主」かもしれない。

俺は、「現世の宇宙」を支配することはできないが、「来世の宇宙」を支配することはできる。

「契約の箱」に納められている「聖書(ナノチップ)」を、俺が全く新しい内容に書き換えてやる。弟子たちに、その仕事を与える。語り継ぐことは、止めにした。

聖書の内容を変えれば、「宇宙の種子」の遺伝子も変わる。宇宙が生まれ変わったとき、その種子から全く別個の宇宙が発芽する。

同じ歴史を繰り返させない。同じ宇宙を複製させない。今までとは違う、地球や火星の歴史を作り出す。

 火星を地球と同じ大きさにすれば、重力も同じ強さになるであろう。そうすれば、地球人が火星で生活を送ることができる。重力に順応できる。

太陽熱は足りないが、火星の地熱で温暖化させれば、地球と同じ温度が得られるはずだ。塩分濃度のある、大海も存在する。

何も、四六億年もかけて、地球から人類を送り込むことはない。俺が聖書を書き換えれば、純粋な「火星人」が誕生するかもしれない。

 だが、現世での聖書の記載にも限界がある。総論でしかない。いくら書き換えても、来世では、細部にまで記述は及ばない。

どこかで、時代の事実がねじ曲げられる恐れがある。完璧ではない。ひずみが出る。結果、場違いな産物が発生する。オーパーツになりうる。