ジェネシス(創世記)

それから半年後、方舟と宇宙船と宇宙ステーションは、火星の周回軌道に到着した。

 火星の居住地では、新たな問題が発生していた。火星独自のウイルスが凍土の氷解とともに、活発化した。一五00人の収容では狭すぎた。

それが感染率を高める要因となった。その結果、方舟・宇宙船・宇宙ステーションの乗員は、着陸を断念せざるを得なかった。

 居住区のユダ人の研究者たちが、ワクチンの完成を急いだ。宇宙船の全乗員は、ワクチンが完成する日まで、冷凍睡眠装置の中で眠ることを決断した。

火星は、まだ生活できるほどの環境を形成してはいない。居住できるようになるには、まだ数百年はかかる。

 しかし、私は安易に移住の権利を与えるつもりはない。新しく就任した大統領が、武力をもって火星を征服しようと企てていたからだ。

「父さん」にお願いして、五回ほど太陽フレアーを放出してもらった。放射線やプラズマエネルギーをダイレクトに衝突させて、私は彼らの命を奪った。それでも、全員が死滅したわけではない。止めが必要だ。

 地球を去ってから五0年後、その超新星の「衝撃波」が、放射線とともに星間を通って押し寄せてきた。

私は物理学者に、夢を通してすでに軌道計算を促していた。方舟だけを「衛星フォボス」の背後に回らせて、回避するように仕向けた。

 この衝撃波によって、宇宙船や宇宙ステーションの船内の気圧を圧縮し、温度を上昇させた。冷凍睡眠装置の中で眠る、全乗員が酸欠となり、安らかに焼死した。

 方舟は、特殊な構造で放射線を防ぐ設計をしていた。そのため、全員被爆することはなかった。

私が物理学者に、夢の中で見させてそのように設計させたからだ。「彼」を守るため、アカシック・レコードと接触させたのだ。