ジェネシス(創世記)

それでも、二つの相反する物質は結合することはなかった。結合すれば、消滅する。この二つを結合させない「中立的な第三の物質」が、必要だ。それも物体ではない。

目に見えないエネルギー体か、強大な波長か、被膜として存在しているのかもしれない。これらの三つの物質によって、宇宙の均衡は保たれていた。

 もしこの「第三の物質」が何らかの拍子で破られた場合、二つの物質は接触し大爆発を起こす。そう、それが破られたのだ。

「正と負」の宇宙が、風船のように膨張し過ぎて、「第三の物質」に穴が開いた。反目しあう正と負の宇宙が触れ合ったその瞬間、破裂し大爆発が起きた。

「光あれ」

二つの宇宙は、大爆発を起こして一瞬にして消滅した。「創造主」は、瞬く間にして消え去った。死の恐怖や激痛を感じることなく、消失してしまったのだ。

五五0億年以上もかけて膨らみ続けた宇宙は、一秒とかからずに終りを遂げた。前世の宇宙では、ブラックホールによって一万年以上もかけて消滅したのに、はかないものだ。

 消滅すると多分、光も波長も臭いも感覚もない、物質も元素も時間も存在しない「無」の空間となった。

そんな、暗黒の世界だけが存在する。私も創造主も、全て「無」と化してしまった。あれから、どのくらい経ったのであろうか。「無の世界」は、時間にして数百億年も経ったであろうか。

 いや、宇宙は消滅したのではない、大爆発と同時に誕生したのだ。水素と酸素の化学反応によって「水」が生成されるように、正物質と反物質の接触により、超巨大な爆発エネルギーから、宇宙が生まれた。新たに宇宙が誕生した。

「光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった(ヨハネによる福音書)」