番の動物たちもクローンではなく、純粋な生殖行動により繁殖するように至った。

 地球の「外核」は鉄の液体であるが、火星では冷やされた塊となっていた。「ニュートリノビーム」の影響によって、地中にある鉄の「外核」が融解し流動化した。

また活動を始めた。マントル対流により大地震が多発し、地殻や大地が微動ながらも動きだした。火山が噴火し、さらに温暖化が進んだ。

 マントル対流によって、磁界が発生し火星の自転も若干速まった。重力は、この回転により多少強くなったようだ。当然、一日も早くなり日が暮れるのも早い。

磁界の発生は、降り注ぐ紫外線や放射線からも防いでくれた。これで火星は将来、さらに生命に満ちあふれることであろう。私の目的は、達成された。不浄な人類の存在は、認めない。

 私は、ここにある。私が「主」である。火星の「魂」でもある。地球は兄さんであり、太陽は父さんである。木星たちは弟妹である。

 私は、人類との「契約」を破棄することを決意した。一万三000年以上にわたって誓った約束を、反故(約束・契約などをなかったことにすること)にした。

 火星に居住していた人類は、火星の原始ウイルスによって死滅させた。生き残った二0人のユダ人に、未来を託すつもりだったが、私を信仰する意識があまりにも希薄だった。

私の知らないところで、「救世主」を選んでいた。その結果二つの派閥が争い、全滅に至った。私が手を下すまでもなかった。

 宇宙ステーションと宇宙船には、穢れた人類が多数乗船していた。みんな、火星を支配しようと目論んでいる。

「父さん」に嘆願し、時期外れの「太陽フレアー」をまた放出してもらい、乗組員を殺害させた。

 方舟に希望を抱いたが、止めた。隕石を激突させて破壊した。地球で生き残った人類は、氷河期に耐えられず死滅した。これで、人類は全て絶滅した。火星に人類は必要ない。