ジェネシス(創世記)

山間部へ行けば、少なくとも高波からは逃れられる。ちなみに「津波」という言葉は、基本的には地震によってもたらされる災害のことを指す。

 落下しても、全ての人類が死滅するわけではない。山へ避難し、食料と水と燃料を確保しておけば生存の確率は高くなる。山に、地下シェルターを設置する家族も増えた。 
 三00メートル以上の高波から逃れるため、少なくとも標高二00メートル以上の高台に避難した。世界各地の不動産業者が、こぞって土地の買占めを始めた。バカな連中だ。

 政府軍は武力をもって、家族を人質にとり技術者たちを強制労働させた。ユダ人が特に、強制的に働かせられた。

家族を人質にとられた技術者たちは、渋々宇宙船の建造に携わった。技術者が逃げれば、人質は射殺だ。将軍たちは、笑いながらその処刑を楽しんでいた。

「おおけなく うき世の民に おおうかな わが立つ杣に 墨染の袖」

身の程もわきまえず、黒染の法衣を着て比叡山(杣山)から、苦しみに満ちた民たちの生活を見下(みお)ろしている。前大僧正、慈円。