ジェネシス(創世記)

無人の「核融合発電所」は、一00カ所も建設された。貯水池にダムの建設。海水に人口塩分を供給する工場。淡水から酸素と水素に電気分解させる工場。

オゾンを作り出す工場。廃棄物処理工場などの無人施設の建設が、急がれた。南アメリカ諸国が、請け負った。

 唯一克服できないのは、「重力」だ。これだけ科学技術が発達しても、重力だけは発生させられない。

宇宙ステーションは回転させることで、ある程度重力を作り出すことはできる。しかし、火星を今よりも早く回転させることは不可能だった。

 居住施設を建造し、仮にその中で地球と同じ重力(一G)を作り出すことはできても、一歩外に出れば、地球の三分の一の重力にさらされる。

体調はすぐに崩れる。クーラーの効いた寒い部屋から、暑い外に出るようなものだ。その逆もまた同じである。

 このままの低重力で生存し続ければ、人類や動物たちは確実に退化していく。身長が高くなり、体格が大きくなる。

鳥や昆虫たちは大型になり、空を縦横無尽に飛び回るはずだ。植物は巨大化することであろう。

 食用植物の生育にも、影響が目立つはずだ。野菜を栽培するため、地下に巨大な無菌室を建造した。

人工の紫外線を照射し、人工土壌と人工肥料と万能酵素の作用で植物の成長を促進させる。栄養的には、決して良好とはいえなかった。アラブ諸国が研究していた。

 牛や豚や羊や鶏、魚類などの動物たちは、「細胞核」を保存した。必要な時に「細胞核」を取り出しては育成・飼育・管理する。

クローン動物だ。重力の低下により、生物などは退化するのか進化するのか、正直言って、私の理論物理学の常識でも予想がつかない。