彼らは洞窟(どうくつ)で暮(く)らし、自然の中で育った樹木(じゅもく)の果実(かじつ)を採取(さいしゅ)し、川の中の魚(さかな)を採(と)り、集団で石(いし)斧(おの)や木(き)の槍(やり)を使用し、獲物(えもの)を捕獲(ほかく)していた。

この時代の類人猿たちにはまだ、火を作り、土地を耕(たがや)し作(さく)物(もつ)を育て、農(のう)を営(いとな)むほどの知恵は、まだ備えてはいなかった。

 人類は火山地帯の溶(よう)岩(がん)の割(わ)れ目(め)から、命をかけてまで「火」を手(て)に入(い)れた。それを絶(た)やすことなく、火を燃(も)やし続けた。

火を絶(た)やせば、また火の山へと取りに行かなければならない。ちなみに「火」は、七九万年前から使用されていることが確認されている。

 氷河期はこの一00万年の間に、少なくとも四回は起きている。六0万年前に始まった「ギュンツ氷河期」。四七万年前に始まった「ミンデル氷河期」。

二三万年前に始まった「リス氷河期」。一二万年前から一三000年前頃まで続いた、「ヴェルム氷河期」である。

 「ヴェルム氷河期」が終了(しゅうりょう)する一万三000年前、海洋(かいよう)に囲(かこ)まれた、とある小さな島が存在した。人類が登場するこの物語は、この時代から始まった。

「創造者(そうぞうしゃ)、主(しゅ)、全(すべ)てを形(かたち)づくり確(たし)かにされる方(かた)。その御名(みな)は主(しゅ)(エレミヤ書(しょ))」

「神である主、今おられ、かつておられ、やがて来(こ)られる方(かた)(ヨハネの黙示録)」

●第二章 「大洋に浮かぶ小さな島」へと続く。