ジェネシス(創世記)

強慢になってきたウル国王は、次第にムルの言葉にも耳を傾けなかった。これらの勝利は、自分の戦術によるものであり、「主」の御加護によるものではない。

ウル国王はもう、「主」の存在を否定していた。パレス人の戦利品を強奪しても、「主」に捧げ物として献上しなくなっていった。大半は自分のために流用し、貴金属類は側室に分け与えていた。

「自分たちのために王を求めて主の御前に犯した悪の大きさを知り、悟りなさい(サムエル記、上)」

 ムルは、ウル国王に落胆した。ムルの二人の道楽息子も、父の言葉に反した行動しかせず、民たちを困らせていた。

心配ばかりかける、親不孝者だった。教育方法に謝りがあったのだと、自分を責め立てた。自己嫌悪に陥った。

 例え民たちから優れた司祭者と崇められても、尊敬されるだけの父親にはなれなかった。自信を喪失したムルは、ウル国王の元から去って行った。

ムルがいなくなると、ウル国王はさらに独裁政治を行うようになっていくのであった。