ジェネシス(創世記)

人は死ぬと、二四時間ぐらいで筋肉がかたくなる死後硬直が始まる。アデノシン三リン酸の分解・減少により、乳酸が発生するためだ。

しかし、瞬時にして死後硬直を起こすことがまれにある。拳銃やナイフなどを握って死んだ場合、筋肉が、発作的に収縮を繰り返し起きる「死後痙攣」だ。弓矢に射られたサムは立ったまま、硬直してしまった。

 怪人サムの、勇ましいまでの死に際に、パレス兵たちは恐れおののき退散してしまった。しかしそれは、遅すぎた。急いで駆けつけたラエル人や長老たちが、兵士たちに立ち向かった。刃を向けて、全員を殺傷するのであった。

「私の命は、ペリシテ人と共に絶えればよい(士師記)」

 ラエル人は、崩壊した神殿に駆けつけた。長老は、ピイチャンの泣き叫ぶ声を聞いた。ピイチャンは、サムの死んだ場所に案内した。

サムは死してもなお、仁王立ちをしていた。ラエル人は、サムの偉業に対して祈りをささげ、手厚く埋葬するのであった。

 その後ピイチャンは、盲導犬として活躍した。ラエル人はサムの功績を受け継いで、「盲導犬・介助犬協会」なる組織を結成するのであった。