ジェネシス(創世記)

パレスの兵士たちが、逃げるサムに刃向かってきた。それをピイチャンがほえ立てて、兵士たちをけ散らした。一本の弓矢がサムの胸を貫いた。激痛に耐えた。

サムは、見えない目で兵士たちをにらみつけた。兵士は得体の知れない恐怖感に襲われた。サムは、拳で壁を破壊し、出口を作った。サムとピイチャンは、そこから神殿の外に出た。

 神殿の天井が崩れ落ち、壁が崩落している。小さな出入り口に詰め寄ったパレス人は、将棋倒しになって、倒れこんだ。

出入り口がふさがれて、出るにでられない。七割以上の人が神殿の下敷きとなった。国王や貴族、将軍たちは息絶えてしまうのであった。

 神殿の外にでたサムは、晴れ晴れとした気持ちで太陽の光を浴びた。脳が活性化された。
「光あれ」

その時、盲目のサムは一瞬だけピイチャンの顔を見た。金色の毛並みがある。盲目なのにサムは瞬時ではあるが、視力を取り戻したようだ。

イルカやコウモリは、超音波を頭脳から発して距離を測っている。サムの脳からも、超音波を発したようだ。超音波の反射力を応用して、物体の奥行きを認識した。

 皮膚からは、太陽の陽射しで温もりを感じることができた。皮膚にはわずかながら、色彩を感じとる能力が備わっていた。

特に赤外線、赤い色に対しては敏感だった。色彩も所詮波長なのだ。周波数の違いによって色は、識別されている。

サムの皮膚には、その微妙な周波数を認識することで「色」を判別する能力を有していた。それとも死に行くサムを祝福するために、「主」は最後の奇跡として、「視力」を「希望の光」を与えたのかもしれない。

 集まったパレス兵たちが、サムの正面からいっせいに弓矢を射った。数十本の弓矢が、サムの身体に突き刺さった。サムは倒れずに、立ち尽くしている。

背後にいるピイチャンを守るべく、立ち続けている。兵士たちは、間断なく弓矢を射っている。何本もの弓矢を射されたまま、仁王(金剛力士)立ちでサムは絶命するのであった。