不意に交わった姪の目は、ぞっとするほど女のそれだった。
「……わかって。私、姪だけど、姪である以前に一人の女なの。好きで伝わらないなら、なんて言えばわかってくれる? どうしたら信じてくれるの?」
涙をたたえ、姪は訴えるように細い声を紡ぐ。
わたしはなにも言えず、ただただ別人のような姪の目を見返すことしかできなかった。
◆
見つめ合ったまま、時間だけが過ぎていった。
先に視線を外したのは、姪のほうだった。
痺れを切らしたのか、わたしの頭からタオルを取るとそのまま駆けだしていってしまった。おそらく足を洗いに行くのだろう。
――……一花ちゃん。
わたしの前からいなくなる直前見えた姪の横顔が、眼裏に焼き付いて離れなかった。