普段は出前持ちの彼も熱気漂う厨房に入ってくる。

「麺一っ邪魔だ。どけっ!」

忙しさのあまり言葉が雑になった大将のセリフに圧倒された麺一が後退りしようとしてバランスを崩した時

"ひゅるるるる〜"

ポケットに入れてたケータイが宙を舞い

"ぽちゃん"

見事ラーメン鍋にダイブした。

「ああ〜ケータイが…」

嘆いてみても戦場のような状況の昼食時のラーメン屋で彼に構う者など居やしない。