fanatic fantasia〜冬と幻想夜の物語〜

死ぬものか、殺されるものか。
どうして僕がこんな目に合わなくちゃいけないんだ。
何度も胸の中で渦巻く、酷くドロドロとした何とも言えない感覚が僕を満たしていく。

死にたくなんてないんだ。
僕は生きていたい…
死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない。
殺される恐怖と死ぬかもしれないこの極限の状態が、僕を突き動かしていた。

いわゆる火事場の馬鹿力と言う奴だろうか。
あれほど酷い痛みを発していた体は、何も感じることは無く…両手で抱えなければ持ちあげられなかった細身の剣も、両手で頑張れば振り回せる様になっていた。

教官は教官で、今の一撃を防がれるとは思っていなかったらしく…一瞬だけ目を丸くする。
僕はその隙を見逃さなかった。
倒れた体制から、精一杯体に力を加えて剣を前に押し出す様にして横に流す。

教官を弾く事は出来ないだろうが、少しでも良いから時間を稼ぎたかった。
今の体制は明らかに僕を振りにする。
だから一刻も早く体制を整えたかった。

けど僕の浅はかな考えなど、大人には通用しないらしく…あっさり次の一撃を繰り出してくる。
それでも僕は――