それでも、寂しいとは思わなかった。
だって僕の他にも同じ様な子達が沢山いて、新参者の僕に凄く優しくしてくれたから。
初めての場所で不安だった僕でもすぐに馴染めた。
知らない事は沢山あったけど、シスター達が一つ一つ丁寧に教えてくれるから、覚えやすかったのを今でも覚えている。

そうして次の日に、僕は教官と呼ばれる恐いおじさんから大きな剣を渡された。
銀色の細身の剣は、子供の僕にも分かるくらい上品な装飾が施されていて、高価な剣である事が伺える。

重さと教官からの思わぬプレゼントに、酷く戸惑っている僕を余所に…その人は訓練を始める。
その瞬間に、金属同士が激しくぶつかる音が後ろで聞こえた。
振り向けば、あんなに仲の良かった皆が…剣を振り戦っていたのだ。

何故…どうして…?
心に過るのはそんな言葉ばかりで、僕は呆然とその光景を眺めていた。
誰かから飛び散る血液は空を舞い、まるで花びらのように散ってゆく。

「お前は此方で特別訓練だ。着いて来い」
野太い声が頭上から聞こえる。
それさえも、気にならなくなる程の衝撃を受けたせいで…僕は一歩も動けなかった。

「どうした、早く着いて来い」
低く少しだけ怒気を含んだ教官の声に、小さいながらに悪い予感がして…無理矢理体を動かし歩いた。
途中で何度か転びそうになりながらも、必死で着いていく。