fanatic fantasia〜冬と幻想夜の物語〜

ギイィンと。
金属のぶつかる鈍い音が白く広い部屋に響く。
僕はとっさに剣を体の前に立てて教官の攻撃を防ぐ。
あと少し…もう少しだけ――

大人の力で何度も吹き飛ばされた影響か、酷く頭がクラクラする。
視界が霞んでゆくが、そんな事を気にしている余裕なんてない。

目の前で佇むその人は、ただ僕を見下ろしていた。
霞んでゆく景色の中で、精一杯相手の動きを読み取ろうと必死になる。
隙さえ…もう一度。
もう一度だけ隙を見せてくれれば!!

そんな焦燥感と何とも言えない程の“終媛”の恐怖に、押し潰されてしまいそうな自我を奮い起たせた。
その刹那…
視界に映る影が静かに動く。

徐々にせばまる様な錯覚を起こすくらい、僕は朦朧としていた。
すでにその目は本来の存在意義さえ、果たしていないと感知する。

どうしたら良いのか…
考えてもまだ幼い僕には対処法なんて思い付かなくて、静かに目を瞑るしかなかった。