子供じゃない。

エントランスホールにぼくの声がなり響いた。

周囲の注目を一斉にあびた。

それでも恥ずかしいという気持ちは一切なかった。

それよりもぼくに冷ややかな視線をおくる周囲に憎しみをおぼえた。

何も知らないくせに。

立ち止まるぼくに父さんはもう一度、ぼくの名前を呼んだ。

優しい口調で、そして悲しみが痛いくらい伝わった。