僕は初めから完成系だった。
「ヒト」の成長過程でいうところの「オトナ」。
僕は穏やかな風のなかでゆっくりと息をした。
「ハイ」と呼ばれる機関が大きく膨らんで少し苦しかった。
これが、生きてると云うことを初めて自覚した時。
僕はぼんやり「ソラ」を見上げずっとその場所から動かなかった。
する事なんかないから。
そんな僕をみて「クウカン」は「カンジョウ」を入れていない事に気付いた。
だが「カンジョウ」は複雑で脆くて不確か過ぎて「クウカン」には作れなかった。
だから「クウカン」は僕に「マナブ」という機能を植え付けた。
「マナブ」機能はとても優秀で、僕はあっという間に「ヒト」の本来の姿に近づいた。
だがやはり「カンジョウ」はうまく学べない。
「クウカン」は悩んだ。どうすれば「カンジョウ」は芽生えるのか。
悩んだすえ「クウカン」は新しい「ヒト」を生み出した。
それは僕とは少し違った姿をしたものだった。


