「煙草止めたら付き合ってあげる。」

夕暮れを背に、バスを待つ。

尚人さんは、煙草を落とし、靴底で踏んづけた。

「俺、真緒ちゃんの為だったら、何でも出来るよ。」

そして、胸ポケットから煙草の箱を出し、少し離れたゴミ箱に使い捨てライターと共に投げた。



「約束?」

そう不安がる私に長い小指を差し出した。

「UH HUH(アーハン)。じゃ、指切りしよう。」

慣れた英語で返事を返す尚人さんは帰国子女だと言うことを聞いたことがある。


小さく微笑んで
指切った!と言う尚人さんが
少し可愛く見えた。