「そんな怪我で心配しない方がどうかしてるから!ところで本当にハヤトの怪我は大した事ないの?変な頭痛とかしてない?ちゃんと病院で治療受けたの?」

俺の心配するな発言など完全に無視したマリコは、たたみかける様に俺を質問攻めにしてきた。

「そんなに一気に言われても答えらんねぇよ…俺の怪我は本当に大した事ないって。それにヒサジの怪我も自然に治る程度だって自分で言ってたし、タケシもちゃんとした治療を受けてるから問題は無い」

「………」

「マリコ?」

俺はちゃんとマリコの質問に答えたよな?なのに、マリコからの返答はなかなか返ってこなかった。俺は電波が悪いのかと思い、再度呼びかけようと思ったら、マリコからの返事が受話器から聞こえてきた。

「…ねぇハヤト、ハヤトはこっちに帰って来ないの?」

さっきよりも少し落ち着いた声音で、マリコは全く別の質問を返してきた。

「今は無理だな、今回の事件で出来たチーム内のメンタルケアもしないといけないしな。それに事件がきっかけで、この町の治安が悪くなったのは間違いないから、区画間の縄張り関係の修復もしないといけないんだ」

俺がミツハルから受けた明日からの役割…それが、中学生地区の治安を治す事だ。今回の事件がきっかけで俺は、臨時のマスターになる事が決まったから、明日から俺は中学生地区の責任者になったんだ。

事件の真実を知るのと引き換えにな…。

「今はって事は、いつかは帰ってくるって事なの?」

「今日の朝、俺はマリコになんて言ったか覚えているだろ?まぁ、そういう事だから…」