「解ったよ。でもハヤト、先走っちゃダメだよ。相手は少なくても回りを警戒してるはずだ…追い詰められた人間は何をするか解らないよ?」

「解ってるさ。ひとまず二人と合流するから切るな…」

俺はミツハルとの電話を切って、二人の元に戻ることにした。

おそらく、犯人はアイツらだろう。ナメたマネしやがって…。

さっさとぶっ飛ばして、終わりにさせたいな…。

仕事は引き受けはしたが、元々俺は細かい作業は嫌いなんだよ。

最近はケンカも出来てないし…今日久しぶりに暴れてくるかな。

「ダメだ…何かイライラしてきた」

俺はポケットからタバコを取り出して火をつけた。心を落ち着ける為に…。

ケンカはいつでも出来る…。

この生活を守るんだ。俺達のこの居場所をな…。

俺はタバコを吸った後、ヒサジ達の元に戻ると、誰かと話をしているみたいだった。背格好を見る限りは女だと言うことだけは解るが…。

黒髪で長い髪の毛。そしてあの横顔は…っ!?

俺が一人、目の前の現実に驚いていると、タケシがいち早く俺の存在に気付き、俺に手を振ってきた。

「おーいハヤト!!この子お前の知り合いか?何か、ハヤトって名前の男探してるんだってよ」

タケシが大声で、俺に話しかけてきた事により、隣りに居た女がこっちを見る。

そして、タダでさえ大きい瞳をさらに大きく見開いて、俺の顔を凝視していた。

俺はこの女を知っている…。

もう会う気がなかった、俺の最初の親友だから…。

「マリコなのか…」

俺の目の前に居た女は、マリコだった…。