夏休みになるまで毎日一緒に下校した。
話が尽きる事はなく、自然と閉ざしていた心を開いており、いつの間にか彼女を目で追うようになっていた。

夏休みに入ってからは部活の日を除いた全ての時間を共に過ごした。
海へ行った日があれば映画を観に行った日もある。
日々、膨れ上がる想いを胸にしまい込み、彼女との時間を満喫していた。


最高学年の夏休みは二人で大学入試の為、勉学に勤しんだ。
彼女から同じ大学に行こうと言われた日を忘れられず、馴れない鉛筆と回転の悪い頭を必死で働かす。
彼女は真面目に取り組む表情が好きだと言ってきた事もある。

今までの夏休みは退屈で不必要な期間だと言えるが、そう悪いものでもなかった。
人間とは勝手な生き物だと思う。