「私ね、好きな人が居るんだけど、その人に酷い事してしまったの。とても酷い事…。その彼は私の前から姿を消して遠い所へ行ってしまった。そんなにハートが強い人ではなかったのよね。ただ、誤解されたまま別れるのは嫌だし、今まで通り楽しくすごしたいと思っているの。彼は私を許してくれるかな?」
3日もの間、生死の狭間をさまよい続けた彼女。
昨日の深夜、奇跡的に意識を取り戻した。
運ばれた時には心配停止状態で輸血が必要なほど流血が酷かった。
都会の大きな病院へ搬送出来れば輸血用の血液があるのだが、救急隊員の人が唇を噛み締めるほど一刻を争う状況だった。
やむを得ず町内で一番大きな病院で手術を受けた。
輸血はちょうど彼女と同じ『A+』だった為、力になることが出来た。

心配そうに話す彼女は何故、自分の心配より人の心配をするのだろう。
腐りゆくこの世界で自分の事より他人を優先する人はどれぐらい居るのだろうか。
そう考えると人間とは未熟な生き物だと思える。