どこに向かって走っているのか分からない。
何がしたいのかさえ分からない。
ただ、がむしゃらに走りつづけた。
前がぼやけて見えづらくなっても腕で目をこすり、目の前に続く道へと力の限り足を動かす。
紅く染まった木の葉がからかうようにちょっかいを出してくる。
それでも負けずに進んだ。

海は二通りの顔を持っていた。
昼は人々を和まし、夜は人々に恐怖を与える。
人生も何通りもあるのだろうか。
いや、人生は一つの道しかない。
迷って決める事も定められていて、老いて朽ち果てる時には子孫に見送られながら永久の眠りにつく。
その間、乗り越えなければいけない壁が進むべき道を塞いでいる。
乗り越えた人は達成感と喜びを感じれるが、乗り越えれなかった人は真っ暗な地の果てへ落ちていき、這い上がるまでかなりの時間と相応の苦労がペナルティの如くその身に降り注がれる。
這い上がる事を諦めた者は今まで力になってくれた者の想いや楽しかった思い出を切り捨てて悪因悪果(あくいんあっか)の言葉の通りこの世では考えられないきつい報いを永遠と受ける羽目になってしまう。
辛い時こそ戒めとしてこの様な事を考える必要があると思った。