「……」

 広い大地に点在する建物が視界をかすめていく。

 遠くを見つめる少年の目には涙が潤んでいた。

 本当の父さんじゃなかったけど、愛されていた事は忘れないよ……開けた窓から吹き込む風に目を閉じる。

 その時、確かにハミルは「父」だったのだから──

 本当の父さんが誰なのか解らないけど、僕は新しい父さんの処に来たんだ。

 とても強くて、優しくて、絶対に死なない父さんの処に……