ハミル邸をあとにする一同。

「荷物はそれだけでいいのか」
「うん」

 少年は小さなスポーツバッグをキュッと握りしめ弱しくうなずく。

 今までの家族の画像の入ったメモリーカードとハミルの形見、そして少しの着替えが少年の全てになった。

「……」

 ベリルは彼の肩に手を添える。

「は~……タダ働きかぁ」
「むしろ赤字だよ」

 気分を変えるように男たちが口々に発した。

「今回は私が支払おう」
「ホントか?」
「そりゃ、ありがたい」
「助かったぜ」

 ベリルの言葉に仲間たちはパッと明るい表情を浮かべた。