おもむろにそのスイッチを押すと数秒後に轟音を響かせて工場が爆発していく。

 暗い空の下、工場は一際(ひときわ)明るく派手に音を立てて崩壊していった。

「さあ~て帰るか」
「報酬いただきだな」
「待ってくれないか」

 そんな彼らをベリルが制止する。

「どうした?」

「本当の依頼主から報酬を受け取らないかね」

「……」

 そこにいる全員が顔を見合わせた。

 彼らは依頼してきた人物が本当の依頼主では無い事は知っていた。代理が来るのはよくある事だからだ。

 しかし今回に限ってベリルは本来の依頼主に会おうと持ちかけた。

 彼がそう言うのだ、きっと何か考えがあるに違いない……全員は小さくうなずいた。