「亜美がこの部屋に誰かいるようなこと言うからさ…熱でもあるのかと。」


「えぇ〜。熱なかったらオバケってこと?そんな怖いこと言わないでよ〜。」


お兄ちゃんの話を聞いて怖がるお母さん。

どうやらお母さんにも見えないらしい。




そのとき、ピピピッという音が響いた。

「どう?」

心配そうにお母さんはわたしに聞く。


「あ、見てみるね。」


わたしは体温計を見た。



…平熱。
やっぱり熱のせいなんかじゃない。

わたしは体温計を手にしたまま固まった。


「その顔…やっぱり熱あったのね。熱冷まシート買ってくるわ。」

お母さんは走って部屋を出た。


そういうわけじゃないんだけど…本当に気が早い母親だ。


「どのくらいあった?」

お兄ちゃんはそう言いながら立ち上がり、わたしをベットまで誘導する。

やけに優しい。
それほどわたしがやばいのだと思ったのだろう。