「…この人だよ?」


わたしはユメさんを指差す。


お兄ちゃんは眉間にシワを寄せたまま、

「頭、大丈夫か?」

と心配そうに聞いてきた。



「失礼だなぁ。大丈夫だよ!」


「いや、だって…誰もいねぇじゃん?」


「……嘘?」


「本当。」


お兄ちゃんはわたしを見て苦笑いしている。

冗談を言ってるわけでもなさそうだ。


お兄ちゃんにはユメさんが見えていないようだ。