ぼーっとしている原因。
それは明らかにあの日のことだった。
運動場で走っていた謎の“彼”。
最近、四六時中彼のことを考えていた。
ふと気を抜けば、彼の姿が映し出され彼が走り出す。
それはまるで古ぼけた映画のフィルムみたいに、優しく、少しどきどきする幸せな時間。
告白され、されるがままに付き合い、恋人のフリをして飽きたら別れる。
ハルにとって恋愛とはそういうもので、ひどくつまらないものだという感覚しかなかったから、誰かのことを四六時中考えてそれによって幸せな気分になるなどというのは初めての経験だった。
