おやじさんは震えていた。


きっと涙を堪えているのだろう。




「……俺はそうは思いません」


だって空は…。


「いつも笑顔でした。もしそれが俺がいて彼女が幸せといってくれているのなら、彼女は本当に幸せなんじゃないんですか?不本意ながら俺はすごく嬉しいです。もし、そのときおやじさん止めていたら俺は一生片思いのままでした」



今分かったこと。


おやじさんがいてくれたからこそ俺たちは付き合えたんじゃないかって。


もし、そのときにおやじさんが認めてくれなかったら、今の俺らはいないんだ。



「俺はすごく感謝しています。彼女に会わせてもらったこと。ありがとうございます」



俺はおやじさんを抱きしめた。


立派な大人がすごく小さく見える。








彼女なら大丈夫だ。


また前のように俺たちに笑ってくれる。


俺の大好きな笑顔で……。